新築時に太陽光発電システムを設置するのは、メリットが大きいです。
ご存知の通り、
・太陽光は余剰電力の売電による収益が見込める。
・災害時の非常電源となる。
・発電時に二酸化炭素を排出しないため、環境に優しい。
・太陽光はエネルギー資源の少ない日本において貴重な再生可能エネルギー。
ということで、非常に魅力のある設備です。
そのため、太陽光発電システムを設置されるご家庭はどんどん増えています。
太陽光発電のシステムを導入する上で大切なことは、
ご自宅の屋根形状に一番合ったソーラーシステムを設置することなんです。
ただ、住宅メーカーや、リフォームメーカーが提案する太陽光発電は、
そのメーカーと提携しているシステムであることがほとんどですので、選択肢はあまりありません。
屋根形状や屋根面積、屋根勾配(角度)によって適したソーラーシステムは異なるにも関わらず、
一律で同じメーカーのシステムを設置するのはもったいないですね。
屋根形状に合わないソーラーシステムを導入することで、本来得られるはずの電力を捨てることになりかねません。
発電効率によっては、1ヶ月で1万円、1年間で10万円単位で収益が違うこともあります。
ソーラーパネルは設置期間が長いので、少なくとも20年以上は設置するとなると、結果、発電量すなわち売電価格に
何百万円の差が出てきます。
そのように考えると、メーカーの提案するシステムをそのまま設置するのが賢明とは言えませんね。
ぜひ、色々なシステムやメーカーを比較したうえで設置していただきたいと思います。
ちなみに、太陽光発電は、
ソーラーパネルが真南に向いていて、傾斜角30度の時に一番効率良く発電ができ、
ソーラーパネル設置に一番適した屋根形状は、南北に下がる形の切妻と、南側に下がった片流れです。
たとえこの条件にはまらなくても、発電効率の高いソーラーシステムを選んだり、メーカーを精査することで
あなたの家の屋根での発電量を最大化させることができます。
それでは、ここで太陽光発電について詳しく見ていきましょう。
・ソーラーパネルの荷重について
太陽光発電のソーラーパネルの重さは、1㎡あたり10㎏くらいです。
もともと瓦屋根の場合、屋根の重さは1㎡あたり40㎏から50㎏あるので、
そう考えれば単位面積あたりの荷重が大幅に増えるということはありません。
構造計算された普通の家でしたら、荷重的には問題ないと思います。
既存の屋根に設置される場合で、築年数のだいぶ経ったお宅ですと、屋根の耐久性の確認は必要になると思います。
・設置の仕方について
設置の仕方では、屋根材の上に、取付用の架台を使って設置する据え置き型と、
瓦などとソーラーパネルが一体になっている屋根材一体型のソーラーパネルがあります。
それぞれのメリット、デメリットをあげてみたいと思います。
【据え置き型】
◎メリット
・屋根材の上にパネルが載ることで屋根が二重になるため、夏の強い日射などを防ぎ、断熱効果を見込める。
・屋根材とソーラーパネルとの間にすきまがあるため、熱の逃げ場ができ、変電効率が良い。
・万が一の故障時の修理、メンテナンスが楽。
△デメリット
・見た目がすっきりしない。
↑ メンテナンス性と、変電効率では「据え置き型」のパネルに軍配が上がります。
【一体型】
◎メリット
・見た目がスッキリしており、外観が良い。
・屋根材と同じように施工できるので、屋根材とソーラーパネルを別々に設置する手間が省け、工期の短縮につながる。
△デメリット
・屋根材とソーラーパネルの間にすき間がないため、熱がこもる。その結果、パネル自体の温度が上昇し、変電効率が下がる。
・屋根の一部とみなされ、固定資産税がかかる。
・屋根材の下がすぐ野地板なので、故障した時に取り外して修理するのが困難。
↑ 屋根材一体型のソーラーパネルは、外観のスッキリ感が魅力です。
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ソーラーパネルは高温に弱く、温度が高くなると発電効率が下がる、という特徴があるのです。
太陽光発電は設置したいけど、あの見た目がどうも・・・と考えている方には一体型がおすすめですが、
将来に渡り安心して使えそうなのは、屋根材の上から設置する「据え置き型」だと思います。
・太陽光パネルの種類について
太陽光発電システムは、メーカーが15社以上もあり、各メーカーで太陽電池の種類や価格が異なります。
また価格については、設置する取り扱い業者によって、費用が何十万円も違ってしまうことがあります。
単位面積あたりの発電量は、モジュール変換効率によって変わりますが、
モジュール変換効率の良いタイプは価格が高い傾向があります。
ですので例えば、「導入時の価格をとにかく安く!」ということでコストを重視する場合と、
狭い屋根面積しかないので、モジュール変換効率の良いものを選んで発電量を確保したいという場合では、選ぶメーカーやタイプが変わります。
単結晶シリコンタイプ
・最も古くから使われているタイプ。モジュール変換効率が高い。
・シリコンの使用量が多く、製造コストが高い。
・高温に弱い。
多結晶シリコンタイプ
・単結晶シリコンタイプより、シリコンの使用量が少なく、製造コストが低い。
・モジュール変換効率は、単結晶タイプより劣る。
・高温に弱い。
薄型シリコン膜タイプ(アモルファスシリコンタイプ)
・モジュール変換効率は、結晶型にくらべて劣る。
・シリコンの使用量が少なく、製造コストが低い。
・高温下でも、出力が落ちにくい。
・電卓などにも使用されている。
・基盤がステンレスやフィルムの場合、形状が自由にできる。
化合物系太陽電池
・シリコンを使わない太陽電池。
・毒物であるカドミウムなどを使用するため規制されているが、主にアメリカやヨーロッパでは実用化が始まっている。
・変換効率は高い。
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新築の場合は、住宅メーカーや工務店が提案してくれる機種を採用されることが多いと思いますが、
それが必ずしもご自分たちの予算やライフスタイルに合っているとは限りません。
ですので、各メーカーの発電方法、価格、変換効率などの特徴を知っておけば、納得して選択ができます。また、こちらから工務店等に対し「このメーカーの発電システムがいいのですが。」という要望も出せますね。
・メンテナンスについて
ソーラーパネルの表面は強化ガラスで覆われており、耐久性や耐侯性に優れています。
表面が鳥の糞などで汚れると発電量が下がりますが、基本的には雨水で洗い流されるので問題ないでしょう。
太陽電池のモジュールは、動作する部分がないので、故障はしにくい機器だといわれます。
ですが、ソーラーパネルは長期にわたって使用するものですので、パワーコンディショナーと共にメンテナンスは必要だと思います。
メーカーによって、独自の保守点検システムを持っていますので、これも事前にきちんと知っておきたいところです。
既存の家に太陽光発電システムを設置される場合も同様です。
訪問販売によるトラブルが増えているようですので、気を付けてください。
国民生活センターでも、太陽光発電の設置を検討している消費者に対し、
(1)複数の見積りを取り、納得できる事業者と契約をすること
(2)補助金、発電量、売電量などについて、自分でも情報収集すること
(3)トラブルにあったら、消費生活センターに相談すること
とアドバイスしています。
太陽光発電システムは高額な設備ですので、既存の家に設置する場合も新築の場合でも、ぜひ色々情報収集し、検討していただくようおすすめします。