歴史ある建物を進化させたオランダのリノベーション建築に注目/後編

この記事を書いた人:松永香織 

 


前回は公共の建築物を別の商業形態へとコンバーションされた建築物をご紹介しました。⇒前回の記事

日本でいう、神社やお寺を商業的に転換するというとまだまだ課題も多いように感じますが、オランダならではの柔軟性と合理性、アーティスティックなおおらかさが成せる形態は街をどんどん発展させ活気を呼ぶきっかけともなっています。

どれも共通しているのは、建築物に敬意を持ち、現代に合った利用のされ方をしながらも歴史に触れられる仕掛けが残されている点です。
ギャラリーを併設する、空間の中に歴史を取り入れるなど、空間と時代背景を同時に味わうことができるためにとても見応えのある時間を過ごすことができると感じます。

まだまだ注目すべき場所を見てみましょう。

○歴史と現代の新しいプロダクトが融合したショップなど

日本の伝統技術が生きるデザインブランド「TIME & STYLE」

日本のインテリアブランド「TIME & STYLE」が海外初の旗艦店として2017年3月、アムステルダムにオープンしました。
運河に囲まれ、静かに佇むこちらの建物はかつて警察署だった建物です。

 

内部の大空間を利用して、繊細で美しい家具やプロダクトを紹介しています。
窓から見える景色も美しく、水面に近い地下には鉄格子のついた窓などかつての姿の名残も感じられます。

広い空間を贅沢に使い、気品のある家具の美しさを引き立たせるディスプレイが魅力です。
屋上テラスや、空間のゆとりを利用しながら毎月ジャズコンサートやプロダクトについての商品紹介イベントも開催されています。

実際に家具や食器に触れながらブランドの魅力を知ることができ、日本で見るのとは少し違う視点から商品の魅力を発信しています。

アムステルダムの注目エリアに誕生した複合施設、「De Hallen(デ・ハーレン)」

かつてトラムの停車場だった跡地を利用して生まれた、ホテル、シネマコンプレックス、フードコート、図書館、セレクトショップなどが集まる複合施設です。

近年日本でも人気のデニムブランド「DENHAM」もこちらに工房を構え、ジーンズになる前のデニム生地や、制作の風景を間近で見ることができます。

足元には線路が残り、鉄骨などのインダストリアルな雰囲気も残る空間を、絶妙な色のペイントやネオンライトなどで仕上げたインテリアは、レトロさとモダンさが同時に感じられる味わいがあります。


アムステルダムのクリエイターが手がけたプロダクトや、オランダで生まれたものばかりを集めた「Maker Store」ではオリジナリティ溢れるお土産を探すのにもぴったり。

フードコート「Food Hallen」では、アムステルダムで人気店のスイーツや飲食店が集まり、ここにいるだけでほぼ有名店の食事を楽しむことができます。

個性的で独特なアート作品が並ぶホテル内部は、まるで集合住宅のような趣があり、建物のハード面では停車場の雰囲気を残しつつも、モダンなライティングやコーディネートでどちらの魅力も引き立てる仕上がりです。
こちらの周辺だけでもたくさんの楽しみがあり、新たな観光スポットとしても注目されています。

伝統的なオランダの街並みを進化させた「シャネル アムステルダム」

数々建築を手がけるMVRDVによる、別名「クリスタルハウス」と呼ばれるシャネルの店舗です。

伝統的な街並みが並ぶストリートで一際目を引くこちらの建物は、「取り壊される建築を呼び戻し、さらに発展させる」という発想のもと、既存のレンガをガラスのブリックに置き換えるという手法でデザインされました。

透明感のある佇まいが「クリスタルハウス」と呼ばれる所以でもあります。
このプロジェクトのために開発されたガラスブリックは、接着しても透明感を失わず、十分な耐久性も持ち先進的な新しい素材として注目されています。

既存の建物を一旦解体し、綿密に計算されたデザインのもと既存の建物を復元。
街並みに溶け込みながらも未来的な佇まいのファサードは新たなリノベーションの形として世界を驚かせました。

解体をして新しい建物や形へと建築するのは簡単ですが、古くからの伝統様式や街並みに敬意を持ち、なおかつ進化も同時に進めていくというデザインは今までに例を見ないユニークさです。

 

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