地震や台風に強い家づくり

ご存知のとおり、日本は地震が多い国ですので、どの地域でも地震対策は必須となります。

地震対策については、建築基準法で最低限の基準があります。

建築基準法の数値は、地震や風による水平力から建て物の倒壊を防いで人命を守るための基準であり、その後住み続けられるための強度を求めているわけではありません。

ですので、より強い建て物にするためには、 例えば、木造であれば、

・壁の量を多くすること

・バランス良く壁を配置すること

・あまりに変形な平面および立面としないこと で建物は強くなります。

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壁の量を多く、堅牢な建物にしようとすれば、開口部は少なくなりますし、 逆に開口部を多くして、明るく風通しの良い建物にしたい場合、壁の量は少なくなるというのは、ジレンマですね。

そこで、開口部を多く設けながらも強い建て物にしたい場合どうするかというと、設置する壁を壁倍率の高い壁にすることで、大きな水平力に対応できるのです。 壁倍率というのは、壁量計算で使う数値で、壁の強さを表す数値です。

建築基準法施工令 第46条 表1 (木造軸組の壁倍率)

  この表で見ますと、

・厚さ1.5cm×幅9cmの筋交いを設けた壁・・・1

・厚さ3cm×幅9cmの筋交いを設けた壁・・・1.5

・厚さ4.5cm×幅9cmの筋交いを設けた壁・・・2

というように、同じ筋交いでも、厚みのある材を使うと、壁倍率が大きくなります。

そして壁倍率が大きいほど、強度の大きい壁となります。

また、筋交いをたすき掛け(×の形)に設置すると、それぞれの数値の2倍あるものとして計算できます。

つまり、厚さ3cm×9cmの筋交いは、単独では1.5の壁倍率を有するのですが、それをたすき掛けにすると 1.5×2倍=3 となるわけです。

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また、筋交いと構造用合板を併設することで、それぞれの壁倍率を加算することができますし、 材料によっては個別に大臣の認定を受けたもので、壁倍率が5倍という材料もあります。 例えば、上の写真の場合、45mm×105mmの筋かいが、たすき掛けで入っており、 さらに壁倍率4のハイベストウッドという面材を張っています。

この場合、筋交い45×105で壁倍率2×たすき掛けで2倍+ハイベストウッド4 で、2×2+4=8 (計算上の上限は5)という壁倍率が算出でき、

かなり強い壁といえます。

そして、大切なことは、その倍率や強度に合った金物を使って、柱や梁に緊結することです。

また、この耐力壁は、平面的にもバランス良く設置することが非常に大切です。

例えば南側に大開口を設け、ほとんど耐力壁がないのに、北側に強固な壁がしっかりあるというような配置ですと、非常にバランスが悪いのです。 ↑ 壁のバランスが悪い例: 開口部の大きさが南北で全く違い、壁の量が大きく異なっています。

  壁の配置のバランスが悪いと、地震などの強い力が加わった際に「ねじれ」が起こったり、高倍率の壁に地震時の応力が集中してしまう可能性があります。

できるだけ整形な形にして、耐震壁をバランスよく設けると、地震に強い建物となります。 ↑ 壁のバランスが良い例  

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また、基礎と土台を繋ぐ金物が非常に大切です。

古い木造住宅では、金物を使用せず、「仕口」とよばれる材の接合方法によって家を建てていました。

そのため、地震の際に「引き抜き」の力が加わり、基礎や土台からすっぽり家が抜けてしまうということがあったのです。

ですので、基礎と土台を固定するアンカーボルトや、基礎・土台・構造躯体を緊結するホールダウン金物は、必要不可欠な物です。 そして、これらを設置するにも、気をつけなくてはいけない点があります。

・アンカーボルトやホールダウン金物は基礎の厚みの中心に配置し、きちんとコンクリートのかぶりをとる。

・乾きかけた基礎コンクリートにアンカーボルトをさし込んでいくような「田植え式」は絶対に行わない。

・アンカーボルトは、土台の寸法、基礎パッキンの厚みも考慮し、きちんと長さや高さを選定する。

ということも大切です。

構造や、耐力壁の配置については、設計士さんが壁量計算または構造計算をされるはずです。

これから、ご家族が何十年も住む家ですから、 建築基準法で必要な壁量をどのようにクリアしているのか、数値的にギリギリなのか余裕を持ってクリアしているのか、など説明していただいても良いと思います。


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