外壁材の種類と特徴

建物の外壁は、家を外気や雨から守るだけでなく、その家の印象を決める大切なポイントになります。

外壁材にはどんな種類があり、どんな特徴があるのでしょうか。

【窯業系サイディング】

セメント質と繊維質を主な原料にして、板状に形成した外壁材で、大変多く使われています。

・材料が安定していて、施工も楽です。モルタルなどを塗る「湿式工法」と比べて工期も短くなります。

・デザインも色も豊富です。

・厚みがあるもののほうが、断熱に優れ、陰影が出来て、表情が豊かに。厚みが少ないと、のっぺりとした印象になります。

・通常、7~10年くらいで表面の塗装をし直す必要があります。

・ジョイント部分にコーキング(ゴムのようなもの)を注入しますが、経年により、劣化して切れたりしますので、点検が必要です。

・またジョイントの部分に目地が出来るのですが(上の写真参照)、これがいかにもサイディングぽくて嫌だという人もいます。

 

【モルタルやサイディング下地に吹き付け・左官仕上げ】

・現場ごとに、色が自由に作れます。

・左官仕上げでは、スタッコ調、刷毛引き仕上げ、洗い出し仕上げなど、表情豊かに表現できます。

・ただし、左官仕上げの外壁は手間がかかるため工期が長くなるのと、塗り手間で費用が多くかかります。

写真は、モルタルの上にジョリパットをコテ塗りしたものです。

ジョリパットやリシンなどのザラついた材料は、汚れが落ちにくいため、白っぽい色だと数年で黒ずんでくるので注意が必要です。

 

【ALC板 (Autoclaved Lightweight aerated Concrete)】

・軽量気泡コンクリート。

・大手住宅メーカーでもよく使われています。(積水のダインコンクリート、旭化成のへーベルハウスなど)

・耐火・耐久性能が高く、メンテナンスの期間が長いです。

・陰影が出るため、見た目の高級感もあります。

・耐火性能が高い為、火災保険では「耐火性能割引」などが受けられる場合があります。

 

【金属板(ガルバリウム鋼板など)】

耐食性、耐熱性、加工性などに優れた、アルミニウムや亜鉛の合金メッキ鋼板で、店舗や住宅に多く採用されています。

価格が安いけれど、うまくデザインすると、クールにかっこよく仕上がります。

・建物を軽量にできます。

・メンテナンスが楽で、汚れも落としやすいです。

・シルバーなどの色は太陽の照り返しが大きく、近隣への配慮も必要。

・厚みによっては、ひょうなどの被害で表面が凹むことがある。

・サイディングと比べると、色やデザインの選択肢が限られます。

 

【木材(下見板張りなど)】

・雰囲気と質感がとても良い。

・日射や風雨にさらされることで、色あせ、腐食などが起こる。

・定期的な塗装、防腐剤の塗布など、メンテナンスは必須。⇒ 外装材に「木」を使う場合に、頭に入れておかなくてはならないこと

 

【タイル】

・高級感があります。

・値段が高いのでイニシャルコスト(初期費用)はかかるが、メンテナンスが少なくて済みます。

・建物が重くなります。

・地震の際のはがれ、割れ、落下などに注意が必要。

・外壁にタイルを貼る場合、ユニットで貼っていく乾式工法がおすすめ。工期が短くなりますし、はがれの心配が少ないのと、白華が防げます。

 白華というのは、エフロレッセンスともいいますが、コンクリートや、タイル目地の部分でよく起こります。

↑写真は湿式工法で貼ったタイル。目地部分で白華が生じています。

これは、コンクリートやモルタルなどの中の石灰やアルカリ分が、表面に浸み出して固まるため起こります。

強度が失われるなどの問題はありませんが、見た目があまりキレイではありませんね。

 

【コンクリート打ち放し】

コンクリートの構造体が、そのまま外壁になります。

・コンクリートそのものですので、耐火・防火性能に優れています

・白華(エフロレッセンス)が起こります。

・美しい打ち放しを作るには、技術が必要です。「ジャンカ」などの打設不良は、見た目が悪いだけでなく、鉄筋が露出して錆びるなどの重大な問題となります。コンクリート打設の知識と経験が豊富な業者に施工してもらいましょう。

・雨だれなどで黒ずんだりしてくるので、撥水塗料で表面の保護をすると、きれいに保たれますが、ツヤが出てしまい多少風合いが変わります。

外装材は基本的に、イニシャルコストがかかる材料ほど、ランニングコスト(メンテナンス費用)は下がる傾向があります。

見た目の好みもありますので、色々比べてみてくださいね。

また、色々な材料を使ってみたいからといって、ひとつの建物に様々な種類の外装材を盛り込むのはやめたほうがいいです。

外装も統一感が大切ですので、使う材料は2種類くらいまでに留めるようにしましょう。

 

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